講談の概要

●講談とは何か?

1人で演じる話芸で、落語と同じく着物を着て座布団に正座して演技します。落語との違いは演者の前に釈台(しゃくだい)と呼ばれる小机が置かれる点。扇を和紙でくるんだ張扇(はりおうぎ)という小道具を使い、話の転換点や盛り上げる部分で勢いよくリズミカルに「パンパン」釈台を叩きます。講談は「講釈」とも呼ばれます。

 

●講談は筋のあるストーリーを読むもの

講談の「講」は歴史という意味。つまり、講談は歴史を面白く、わかり易く話をするものです。その起源は、徳川家康公の御前で『源平盛衰記』・『太平記』を講じたのが始まりと言われています。また「師」は先生の意味。武将は軍談を聞き次の戦に備えたのかもしれません。

落語は江戸期や明治期の庶民の世俗を題材に、2人以上の人物の会話の掛け合いで話が進展していくパターンで、お客を笑わせることが目的の芸です。

これに対し講談は筋(プロット)のあるストーリーをお客に聴かせるのが目的で、登場人物の会話部分よりも地の文で開設する部分(ト書き)が多いのが特徴です。小説で言うなら「・・・」の部分が落語「・・・」も含む情景や感情までも読のが講談です。

また、講談を口演することを「語る」といわず「読む」と言います。その昔、釈台に台本を置いてそれを「読む」ものであったことの名残です。現代では落語と同様に台本なしで演じる「無本」が一般的ですが、軍談の修羅場読みに限っては難しい語が多様されるためか台本を使って演じることがあります。

 

●講談の題材は歴史上の出来事

講談の読み物の多くは戦国時代の合戦だとか赤穂浪士の討入りだとか宮本武蔵の活躍だとか歴史上の出来事を題材にしていますが嘘・実の嘘の部分が大きく、人物以外はまるっきり作り話、あるいは登場人物自体が架空の人なんてケースもあります。ある程度史実に基づいている読み物もかなりありますが、やはりフィクションの部分が圧倒的に多く、実が1~2割、嘘が8~9割、そんな感じです。

「講釈師、見てきたような嘘をつき」は有名なフレーズです。



現在、講談師は関東関西合わせて100人ほど、女流講談師が約二分の一を占める一方、国際的事件や経営理論など、歴史以外の題材を取り上げる試みもなされ徐々にその型、伝統を変えながらも新たな盛り上がりをみせています。ちなみに、落語では先輩のことを「師匠」と呼びますが、講談では「先生」と呼びます。